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たとえば、「雑誌」と「通販カタログ」を比べてみましょう。雑誌はモノやサービスを売っているわけではないので、記事や読み物自体が「商品」です。つまり、雑誌が読まれるかどうかは、いかに読者を惹きつける「情報」を集めるかにかかってきます。一方、通販カタログの場合は魅力的な「商品」そのものを見つける、あるいは作ることがビジネスの根幹となります。メディアコマースの運営には、この2つの要素をうまく合成することが必要なのですが、そもそも1つの企業内に「編集者」と「商品開発者(バイヤー)」を備えているケースは稀だと思います。しかも、両者それぞれの分業ではなく、互いに密着した環境でフォローしあえる体制が理想です。

   「メディアコマース」をうまく運営していくためには、おそらく多くの企業で本気の「体質改善」が必要となるかもしれません。これまでに大手の出版社が得意の情報発信力を活かして通販に参入したケースもありましたが、大きく成功した例は耳にしません。つまり、中途半端ではダメなんですね。出版社は通販会社に、逆に通販企業は出版社になるくらいのつもりで、足りない側の能力を強化しなくてはならないのです。

「コンテンツ」を内製化する力をつけることは、小売り企業にとって大きな強み。それは、商品の売り方や営業メニューばかりでなく、企業個性や経営理念といった企業の本質に関わる部分まで社内で醸成することに繋がる。そしてメディアを通して自らが情報を外へ発信できる。メディアコマースを作る目的は、売上げを伸ばす、リピート客をつかむ、新規顧客を集めるとさまざまでしょうが、一番のメリットは、マンネリ化した企業の体制にメスを入れられることかもしれません。